常秋九十九折

主に恋愛ゲームのプレイ感想

白昼夢の青写真 感想

【タイトル】白昼夢の青写真(Switch版)
【発売日 】2022年11月17日
【メーカー】Laplacian
【シナリオ】緒乃ワサビ
【原 画 】霜降/ぺれっと

 

【個人的評価】73/100点
【総プレイ時間】約16時間
【攻略おすすめ順】なし。ランダムを楽しんで下さい

 

シナリオ評価の高さを噂に聞いていたので予約して購入しました。公式サイトすら見ずにプレイ開始しましたが色んな意味で予想外。

もしこの作品が気になっていて、このブログを購入の参考にでもしようかなと思っている方がいるならとりあえず購入することをオススメします。

今すぐページを閉じて通販なり実店舗なりDL販売なりでソフト入手しちゃって下さい。隙のない完成度は折り紙つきですし、全てがここまでしっかり作られたギャルゲーはなかなか無いです。

シナリオが合う合わないはありますが、それはもうプレイしてみないことには判別できないので……!

 

 

 

まずネタバレなし感想。ポジティブ感想だけではないです。

 

CG、UI、音楽、ストーリー構成、システム、全てが作り込まれています。とにかくめちゃくちゃメーカーの「気合い入ってます!」という姿勢が伝わってきて、それらの部分でのストレスは有りませんでした。

CGも差分が30〜50あるものも多く、いつまで経ってもCGモードが見終わらないのは嬉しい悲鳴と言うか。

ボーカル曲も9曲あるのでお気に入りが見つかるのではないでしょうか。個人的には「恋するキリギリス」がOPムービーと相まって、とても可愛くて大好きです。

そして肝心のシナリオなのですが、ここは人によって評価が大きく変わると思います。

私の場合、case3→2→1→0の順でプレイしましたが、好きなシナリオと受け入れがたかったシナリオがはっきり別れました。

感動して涙が…ということも特になかったのですが、コンプした時には安心感とでも言ったらいいのか、穏やかな気持ちで心がいっぱいになる不思議な作品でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やんわりネタバレあり感想。ここもポジティブ感想だけではないです。

 

case3は爽やかな青春もので、あまりにもまっすぐ青春していて眩しかったです。

主人公のカンナくんが、ちゃんと向き合うべき人と向き合えるのでストレス無し。OP曲のオルゴールバージョンBGMが良いシーンでかかるのでじんわり沁みる。

いつでもとにかく明るいヒロインのすももに救われました。梓姫の「⚪︎⚪︎でしょうが」という口調が妙にクセになります。

1番好きなシナリオでした。

 

case2は主人公とヒロインが同じ目標に向かって頑張る流れの印象が強かったので「そこ両思いだったの!?いつのまに!?」と少し置いて行かれてしまいましたが、時代的にどうしようもない現実が立ちはだかる切ない内容が好きでした。

2番目に好きなシナリオで、ヒロインの中ではオリヴィアが1番好みでした。

 

case1は他には無い湿度があると言うか「かなり年上の男性と結ばれる10代女子学生」要素を受け入れられるか否かで好みが分かれるなと。

この作品がフィクションだと十分理解していてもその要素があると(う~ん…🤔)となってしまうタイプの人間なので少し考え込んでしまいました。

20〜30歳年が離れた相手との恋愛・結婚がままある事だとは理解しているし身の回りでも覚えがないわけではないんだけど、既婚40代教師が10代教子に手を出すのはちょっと何というか受け入れがたくて、ストーリーは納得できてもそこはずっと引っかかってしまったな…主人公の有島は妻にも酷いことをするし。

エピローグまで読むとちゃんと無事着地した感は個人的にありましたが、倫理観の持ち方によってはこの内容は受け入れられないという方もいるかもしれない。

ストーリーは綺麗ですが息苦しさも有り、プレイしていて少し苦しかったです。

3番目に良いと思ったシナリオでした。

 

case0は主人公の海斗に感情移入できず、中盤の世凪とのすれ違いや、研究の中で世凪が……という場面はかなりしんどかったです。

あの病気に家族がかかった大変さは実際に体験しないと分からないし、本人の辛さもそばにいる側からは理解しきれないし本当に大変な病気なんですよね……

プレイしている私自身と価値観や考え方が乖離した海斗の行動をただ見ていることしか出来ないのは本当に辛かったです。

その分、ラストはもう苦しむ海斗や世凪たちを見なくて良いんだと思うと、ただひたすらに安心しました。

出雲の声と口調とても好きです。三宅麻理恵さんは「アイドルマスターシンデレラガールズ」での明るい演技しか知らなかったので幅広さに驚きました。クセになる声。

 

この作品全体を「純愛の物語」と言われると個人的には頭を傾げてしまうところはあります。

case0で海斗が世凪の為にと言うより「こうすれば世凪も喜ぶはず」という思い込みによって動いていたり、世凪をその研究に携わらせたら状態が悪化する可能性も十分あるのに何故研究に参加させるのかと苦々しく感じていたりしたので、それを「純愛」とは個人的には呼びにくい。間違えない愛などあるかと言われれば、それは無いと思いますが……うーん難しい。

自分にとってcase0は「純愛」と言うより「間違えながらも必死に掴み取った幸福の物語」なのかもしれません。

case1は倫理観によってどうしても〝純粋〟とは思えず、ですがcase2、3は分かりやすく純愛してると思います。

 

不満も書きましたがcase1、2、3はどれも単体でもクオリティが高くて、その物語たちがcase0に収束する作りは見事です。

残念ながら私にとってはめっちゃ刺さった!という作品では無かったのですが、この作品がとても多くの方々の支持を得ているのは肌で感じましたし、プレイして損はない作品だと思いました。

 

公式サイトのコラムは読んだ方がいいですね! 作品への解像度上がりました。こういう福利厚生ありがたい。

ボーカル曲は好きな曲が多かったので、ボーカルコレクションを買おうか悩んでます。

 

追記:ボーカルコレクション買いました。