常秋九十九折

主に恋愛ゲームのプレイ感想

エヴァーメイデン 感想

【タイトル】エヴァーメイデン〜堕落の園の乙女たち〜 Switch版
【発売日 】2023年4月27日
【メーカー】エンターグラム
【シナリオ】海原望
【原 画 】大石竜子

 

【個人的評価】85/100点
【総プレイ時間】約10時間
【攻略おすすめ順】なし

 

好きな「徒花異譚」スタッフの作品が移植と聞いてすぐ予約しました。
百合ゲーは初めてだったので、正直自分に合うかどうか不安もあったのですが杞憂でした。

ライアーソフトを信じろ。

 

 

 

まずネタバレなし感想です。


最初は全てが謎に包まれている上にファンタジーのようなSFのような世界観に混乱して、プレイ開始1時間ほどはとにかく読み進めるしかない状態でした。
プレイしていて嬉しかった所が1つ……マップ画面がマップイラストもアイコンも可愛くてすごく可愛い!こういう雰囲気大好き!!
こういうテイストのイラストの雑貨が欲しくなる可愛さで、毎回マップ移動が楽しみになりました。可愛い……
マップ移動を何回か楽しんだ後、ストーリーが本格的に動き出したあたりからグッと惹きつけられて「エヴァーメイデン楽しーーーー😂」となってました。あまりにも世界観が良い。


「百合は絶対に無理」という方以外だったらSFが好き、切ないストーリーが好きな方にオススメしたい。

最後の最後はちゃんとハッピーエンドなのでそこは安心です。


シナリオの文体が少し独特なので、不安な場合は体験版で合うかどうか判断した方がいいかも。
個人的にはシナリオ文体にはすぐ慣れましたし、詩的なテキストが美しくてそれが今作の大きな魅力でもあるのでぜひ体験版、製品版問わず触れて頂きたいです。

 

 

 

 


ここからネタバレあり感想です。未プレイの方は閲覧非推奨です。

 

 

 

物語の構成が上手くて快感ですらありますね!
1章で世界観提示、2章でショッキングな出来事、3章で謎解き&引き続いてショッキングな出来事が起きて、4章で様々なことが明らかに。息もつかせぬ展開に読み進める手が止まりませんでした。
「徒花異譚」でもそうでしたが背景もCGもテキストも美しくてスクショが止まらない。
特に乙女たちの哀切に満ちた言葉は切なさに胸を締め付けられながらバシャバシャスクショ撮りまくってました。

 

2章をクリアした後は「うそでしょ😭」しか言えない生き物になっていました。
予想はできてもまさか本当にそうなってしまうとは思わなかったのもありますが、マコーの望んだものがあまりにも健気で切なすぎる……マコーとパヴォーネの気持ちは伝え合うことすらできないのか……無情すぎる。
禁断の園に芽吹いた愛のなんと眩しく儚いことよ。

 

3章からは謎解きパートも挟まれて、段々と世界観の謎が明らかになってさらに夢中に。キャナリーとロビンの接近もキャナリーの気持ちが報われたようで嬉しかったです。
そして唐突に訪れたアレ、オタクの大好物「2人だけの結婚式」!! ……でしたが、2人の間にある隔たりが今までより明らかになってしまうのが悲しかった。
その直後に起きたことがアレだったのも、もうやりきれなくて、悲しいわ……
せめてもの救いは2人が一緒だったことと、お互いの気持ちを伝え合えたことですが、いやでもそんなのってないよ……😭
悲しみを引きずりながら読み進めた先で明らかになったパヴォーネの異変(?)の理由にも驚かされました。いやでもそんなのってないよ!?(2度目)
そんな、パヴォーネの気持ちを踏みにじるようになることが、アドラーがパヴォーネに命じたあの行為にあったなんて。つら。

 

4章からは本格的に伏線が回収され、謎が明らかになっていきました。
あの恐ろしいアレの正体には全く想像及ばずびっっっくりしてしまいました。でも明らかになるととても悲しい存在。
パヴォーネのマコーへの気持ち、女性向けコンテンツにいる「ナンパだけど実は真剣に恋したことがなくて、いざ本気になるとすごく一途でギャップが破壊力高いキャラ」に似たところある。栄養価が高くて美味しい~でも百合ならではの旨みで新鮮。

 

最初のエンディングはアヴェルラエンド。彼女もまた必死に生きながら、この学園の中でも大きく歪んでしまったのだなぁ、としみじみ切ない。
次のエンディングではルクが……

 

その後に真実が開示されました。オルロ、ただ者ではないだろうなと思っていましたが、まさかの正体で、夢現入り混じるシナリオの理由までも判明して唸りました。
大石竜子さんのロマンチックな絵も、夢と現実の境を曖昧に感じられるタッチで本当にシナリオとの親和性が高い。

 

そしてバッドエンドを経てトゥルーエンドクリア。
もーーーー本当にアルエットとルクが運命の2人すぎて泣く。想像しえなかったハッピーエンドで更に泣く。

 

EXシナリオ、本編の補完やifのストーリーが読めて本当にありがたかったです。
「誰がための祝祭」はルクの変化とアルエットへの言葉が本当に嬉しくて泣きそうでした。
「つぎはぎだらけの夢」はアヴェルラへの愛しさが募る内容で、でもルクのことを思うとこのストーリーを全面的に支持することもできなくてもどかしいのですが良いものでした。
EXシナリオでは特にこの2つが好きです。
アルエットとルクが運命なのはもちろん前提なんですが、アルエットをめぐる、氷のように静かなルク燃え上がる炎のようなアヴェルラの対比が素晴らしくて素晴らしくて……ルクアル・アヴェアルどちらも尊い🙏
マコーとパヴォーネ、キャナリーとロビンも尊い尊いCPしかいない素晴らしいゲーム。

 

キャラクターは全員好きですが、アヴェルラが1番好きかもしれません。パヴォーネもかなり好き。
CPはどれもみんな大好きで1番は決められないです。

 

もしこの作品に欠点があるとすればシナリオが短いことでしょうか。もっとプエラリウムの世界を味わっていたかった。もっとみんなが過ごす日常を見ていたかったです。


切ない恋愛が特に自分には刺さりました。異造化した乙女たちの胸に迫る台詞を聞くたびあまりにも切なくて、彼女たちがした恋の美しさにため息が出ました。
アダルトなシーンがカットされたCS版だったのも百合初心者には合っていたみたいです。

 

この耽美な世界、もっと多くの人に触れてもらいたい気持ちでいっぱいです!
クリアして即サントラと設定資料集買いました。

サントラはどの曲も美しくて好きですし、設定資料集は細かい補足やSSがかなり嬉しい。

アクリルスタンドとかも欲しいですね……アルエットのアクスタをルクとアヴェルラで挟みたい……🧊💐🔥