常秋九十九折

主に恋愛ゲームのプレイ感想

Nightshade/百花百狼 感想

ツイッターfusetterを使って投稿していた「Nightshade/百花百狼」の感想メモです。バトルものギャルゲー大好きな人間で殺伐とした展開を喜ぶので、そういったものを受け付けない方は閲覧非推奨。

 

「百花百狼」陰陽座の「甲賀忍法帖」を聞いて気持ちを高めてからプレイしたのですが、コンプ後一気に忍者ブーム到来してその後、小説「甲賀忍法帖」漫画・アニメ「バジリスク」を一気に履修しました。

そして見えてきた「甲賀忍法帖」と「百花百狼」の共通点……

気付いた瞬間「百花百狼」の「甲賀忍法帖」オマージュっぷりに感服しました。PS Vita版に付いていた「戦国忍法帖」というサブタイトルは偽りじゃ無かった。

スタッフの熱い心意気が最高な作品です。

 

 

感想は以下クリアした時系列順にメモしてあります。

致命的なネタバレは出来るだけ避けていますが隠しきれないものもあるので読むのはクリア済み推奨。結構長いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

百花百狼感想

ハードな内容でプレイ時間も短くさくっとプレイ出来ると聞いていた「百花百狼」Switch版、とても楽しめたので感想書き留めておきます。

1周目は黒雪。瞳術が出てくるところはまさに「忍法帖」という感じで、敵の忍たちのケレン味あるデザインもありバトルが楽しいルートでした。
瞳術といえば山田風太郎の「甲賀忍法帖」の主人公が使うらしいやつ…(未読)
身も心も蝕まれる術を体得させられ記憶すらおぼつかなくなる、道具としての忍の哀切が描かれていたなーと。
黒雪がヤンデレっぽいのも闇感あって良いですね。

2周目は蝶治郎。味方だった甲賀の里の者たちに主人公が追われることになるまではそういう展開もあるだろうな、という認識でしたがまさか乙女ゲームで攻略対象含むネームド立ち絵ありキャラが一気に殺し合って死ぬとは思わず、1番年下のまだあどけないキャラクターまで無惨に死ぬので忍者ものだー!とめちゃめちゃテンション上がりました
愛し合う2人が殺し合わねばならないのもどう着地させるのかとワクワクした…
バッドエンドの心中でもあり切なさに溢れたルートでした。
バッドエンドラストで本気で殺し合った末ほぼ相打ちになり、力尽き崩れ落ちる蝶治郎を背後に槐が秀吉の首をかき切って絶命する終わり方だったら自分にとっては最高だったな、などと想像が止まらなくなる大好きなルートになりました。
このルートは正に自分が求めていた、権力者の思いつき1つで風に舞う木の葉のように翻弄され命を落としていく存在としての忍が描かれていて、それだけでも満足度が高かったです。
クリア後アマゾンで軽くレビュー見たら蝶治郎ルート合わなかった方多かったけど、やっぱり仲間が死にまくるのとあのハッピーエンドは賛否分かれる部分だろうな…
道中で満足しきってしまったのとバッドエンドが好みだったのでハッピーエンドの唐突さもなんだか許せてしまった…バッドエンドのトゥルーエンド感がすごい。
元は伊賀の蝶治郎と、伊賀と甲賀の血を継いでいるとはいえ甲賀の郷で育った槐が結ばれるには死あるのみだったのかなと考えると、個人的にはとても腑に落ちます。

3周目は五右衛門。エンディングの後味が良いらしく、最後に攻略した方が良いとは聞いていましたがなんとなく中盤に。
五右衛門が実は…というギミックがあったり、しかしちゃんと義賊らしさを持たせたハッピーエンドの晴れやかな終わり方は確かに他に無かった爽やかで憂いのない後味でした。
遊び人とうぶな娘のカップリングもベタですが王道で、五右衛門が不殺を貫く理由もちゃんとありエンタメなルートだったなと。
その分バッドエンドでその不殺を破る場面の悲壮さが際立つところなど手堅くまとまっていて人気が出るのも納得。

4周目は半蔵。攻略対象の中で1番The 忍な半蔵がどう主人公と恋愛するのか全く想像がつきませんでしたがじわーっと槐が心を開いていって。
まさか乙女ゲームの主人公が敵とはいえ人を殺すとは思わなかったのでかなりびっくりしました。攻略対象が死んだ時よりびっくりしたかも…製作陣の意気込みを見た気がします。
そしてお互い好きだけど半蔵はその気持ちを認めようとはせず…からの戦闘の中でついこぼれる本心の流れは王道で好きでした。
でも年齢差がかなりあるんだよな…という考えがつい頭をかすめまくりましたが一時棚上げ。この時代ならありえる年齢差だろうし…
父殺し要素もあり、槐が一皮も二皮も剥けて「おひいさま」から1人の「忍」になるルートで、主人公としてかなり成長したのは嬉しかったです。
見た目が1番好みだなーというくらいの気持ちで始めたルートでしたが、まさか半蔵が基本クールなんだけど自分の恋心を自覚すると積極的になるタイプだとは思わずそこもびっくりしました。三十路超えてる割に意外と純情なんだよな…初見からするとかなりのギャップ。

5周目は月下丸。開始前は今までどのルートでも槐に尽くしていた忠義が報われてくれ…!と願わずにはいられませんでした。
実際プレイしてみると、槐が追われるようになる前後の流れはこのルートが1番シンプルで分かりやすかったかなと思います。
そしてハッピーエンドをクリアした時は「これグランドルートじゃん!!」と大喜びしてしまいました…月下丸ラストにして本当に良かった…
今までのルートのいいとこ取りと言うか、仲間との戦いあり、月下丸の忠誠心にもギミックあり、父殺しあり、タイトル回収ありなど、個人的にツボだった要素が再び違う形で盛り込まれていてテンションが上がりました。
何よりやっと月下丸の気持ちが報われて槐と結ばれたのが純粋に嬉しかったです。
他のどのキャラのルートでもいつも槐のことを第一に行動していた月下丸にやはり申し訳なさを感じていたので…
しかし霞はどのルートでも結構大変な役回りで、助演女優賞はきっとこの子だななんて思ったり。
このルートでは月下丸と黒雪の兄弟ペアの絡みが長めに見られたり、最期に甲賀を裏切る蝶治郎が見られたり、兄弟弟子トリオが揃っているところがあったり、安定の強さの半蔵に安心したり見どころも沢山で。
サブキャラ同士のカップリング好きなので、猿之助と伽羅のやりとりは好ましいながらも切なくてこの2人には幸せになって欲しいのですが、やっぱり秀吉が黒幕の蝶治郎・月下丸ルートが特に好きです。忍の命が限りなく軽い無情さがたまらない…

今までそんなに数多く乙女ゲームをプレイしてきたわけではないのですが、長らく攻略対象が人を殺さないことが多いことに納得できずにいたので、この作品で攻略対象どころか主人公まで人を手にかける思い切った表現をしてくれたことには感謝しかありません。
今までもモヤモヤが消化されて、乙女ゲームでもこういう表現アリなんだ!ととてもスッキリしました。
バトルの描写がテキストでわりと細かくあるのもかなり嬉しかった。
何気なく買ってしばらく積んでいた作品でしたが久々に心躍るゲームをプレイできて本当に楽しかったです。
好みが分かれる内容だと思いますが、個人的には100点満点中500点でした(加点方式)
ありがとう「百花百狼」…Vita版買おうかなとすら思っている…